Birds of a feather flock together.
少年のような瞳がまっすぐに輝いていた。
なんてうれしそうに語るのだろうと、その舞台を見ながら感動した。たちまち興味が湧いてきて、隣で何か言われていたのにまったく耳に入らなかった。不思議なくらい、聞き入ってしまっていた。魅入られていた。
なにか特別なことが起こる気がしたのだ。
だから声を掛けた。
理由は、それだけ。
「いい天気だね」
「ん、だね」
ベンチに腰掛けて、片手には達海イチ押しの炭酸飲料。目の前では子供たちのサッカー試合が行われている。
天候の話を振ったのはブランで、タマゴサンドを頬張りながら答えたのは達海だった。特に何かを考えていないような返事をした達海の様子を、ブランはにこにこと楽しげに見ていた。
その視線にほんの少し眉を顰める。
それに気付いたブランが小首を傾げると、達海は口を開いた。
「おっさん、マジで何者なの?」
「……そうか、やはりフィッシュアンドチップスの美味しさを知りたいと…」
「あー……いい。話通じてなさそうだし」
言葉の壁というものを感じて達海は口を閉ざした。
乗り越えられない壁ではなかったものの、そうまでして相手の正体が気になるわけでもない。こうして隣に座って、一緒に軽食を食べながらサッカーを見ているだけで楽しいし、達海はそれ以上のなにかを欲しいとは思わなかった。
サッカー観が近い人間と話ができると言うことは少ない。
松原のように感じ取ってくれない場合の方が圧倒的に多いからだ。達海の効果音を多用する説明で完全に言いたいことを理解してくれる。こんな幸運は稀だ。
だとしたら、達海はこの時間を楽しみたい。
同じサッカーを見て、その喜びを分かち合いたかった。
「………君は、GIANT KILLINGが好きなんだね」
青のチームにボールが渡り、真剣に視線を注いでいるとブランが呟くように言った。
「輝いている。あの子どもたちと同じくらいにね」
「………」
ずずっと炭酸飲料を啜る。
子どもと一緒くたにされるのが褒め言葉なのか微妙であったし、仮に褒め言葉であってもどう答えたらいいか思い付かなかった。誤魔化すようなその仕草を咎めることもなく、ブランは一つのボールを追い掛ける子どもたちへ視線を向ける。横目でちら、と目にした相手の双眸の方が、よほど少年のように輝いていた。
似ているのかもしれない。
とても、似ているのかもしれなかった。
「……おっさんもさ、輝いてるよ」
「え?」
「サッカーが好きなんだよね、つまりはさ」
クェッションマークを浮かべたフランス人に笑って、そう日本語で完結させる。
流石のブランにも伝わらなかったようで、達海はまた少年たちへと視線を向けた。まさにゴールを決めようとしている様子に、「あ!」と声を上げると、達海を不思議そうに見つめていたブランも試合へと興味を戻す。
ただそうやってサッカーを楽しむ時間は、とても大切な時間のように思えた。
少年のように目を輝かしている、時間が。
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